【男性も知っておくべき】トランスジェンダーの蜘蛛さん、乳がん体験を語る「性別関係なく検診を」
入院着姿のファッションチェック動画が話題 52万回再生の反響
入院着を着こなす姿を披露した動画で注目を集めた蜘蛛さん。実はこの動画が2度目の乳がん手術を受ける際に撮影されたものだと明かし、大きな反響を呼びました。「自分のことを恥ずかしがらずに発信する姿がかっこいい」「手術の無事成功を祈っていた」「入院着ですらおしゃれに着こなすとは」などの声が寄せられ、再生回数は52万回を突破。トランスジェンダーであり、現在はアイドルとしても活動する蜘蛛さんに、病気発覚時の心境やトランスジェンダーとしての想いを聞きました。
■24歳で乳がんを発覚「男性も罹患することを知って」
――乳がんが発覚した当時の心境を教えてください
「24歳で乳がんと診断され、1年以内に2度罹患して2回の手術を受けました。最初にわかったときは『え~、男も乳がんになるんだ…』というのが率直な感想でした。病気自体への驚きやショックは最初はありませんでした」
――治療の経過について教えてください
「2024年8月に右胸の乳がんステージ2が発覚し、9月に全摘出手術を行いました。放射線治療や化学療法は行わず、定期通院と服薬のみの治療でした。その後2025年3月に左胸の乳がんステージ1が発覚、6月にはステージ2に進行したため全摘出手術を受けました。このときも放射線・化学療法は行わず、7月に手術痕の再縫合、8月に運動制限が解除され、リハビリを経て現在に至ります。体調不良や再発もなく、問題なく仕事に復帰しています」
■認識の変化「男性も検診を受けるべき」
――乳がんに対する認識の変化はありましたか?
「以前は『男性の自分が乳がんになるはずがない』と考え、女性だけが気をつける病気だと思っていました。しかし実際に経験して、性別関係なく男性も検診を受けるべきだと強く感じるようになりました。がんは早期発見と治療が治癒のカギです」
■定期的な検診の重要性を訴え
「早期のがんには自覚症状がほとんどありません。だからこそ『他人事ではない』という意識を持ち、定期的な検診と体に違和感を感じた時の早期受診の重要性を発信していきたいです。もともと病気とは無縁の生活を送っていましたが、人生は何が起こるかわかりませんね」
■性自認との向き合い
――性同一性障害について公表されています
「幼稚園の頃から、性別による行動の区分けに違和感を感じていました。周りに合わせようと頑張っていたため、自分の本心と向き合えるようになったのは22~23歳のときです。性同一性障害の診断書を手にして初めて、『女の子になりたかった』という気持ちと真正面から向き合えるようになりました」
――公表後の心境は?
「『言ってやったぞ!』という気持ちです。最初は公言したくありませんでしたが、同じ境遇の人の背中を押せる存在になりたいと思うようになりました。夢のために勇気を出して覚悟を決めた自分に、ワクワクできるようになりました」
■治療の実際と乳がんとの関連性
「睾丸摘出手術を受け、女性ホルモン注射を1年以上続けています。乳がんの原因がトランスジェンダーの治療によるものだと断言はできませんが、ホルモン注射や定期通院が早期発見の要因の一つとなった可能性はあると考えています」
■同じ悩みを抱える人へメッセージ
「リスクなしに性別を変更することはできません。一度治療を始めれば後戻りはできません。自分の気持ちと体、人生計画としっかり向き合い、『自分を愛せる選択』を取ってほしいです」